結婚してください
結局、ディナーは豪華なものだけどあまり美味しく感じなかった。
せっかく英輔が誘ってくれたのに。
英輔が私に笑みを見せてくれているのに素直になれない。
離婚したのに何故こんなことするの?
離婚してから何故こんなことができるの?
大切にしたいはずの時間が辛くてたまらない。
一刻も早く逃げ出したくなる。
二人で食事を終えるとスウィートルームへと向かった。
妻と紹介した理由、私が仕事をしなくても良い理由の説明をしてくれるはず。
だけど、この部屋に入るということはそれだけでは終わらないことも考えなければならない。
離婚してからの英輔は私を求めてくる。
長い間、会わなかったのに何故か急に会いに来てからは私を求める。
それは私も同じ・・・・
私も、心のどこかで英輔を求めている。
だから、この部屋に入るのが怖い。
流されてしまいそうで。