結婚してください
「離婚については亜紀以外誰にも話をしていないんだよ。」
「どういうこと?!」
「離婚なんてできるはずないだろう?
それを亜紀の意思を優先して離婚したとなるといろいろ問題がおきるんだ。
だから、まだしばらくは離婚したことは秘密にしてほしい。
勿論、秘密ということは、亜紀は俺の保護下にあるわけだ。
当然亜紀の面倒は俺が見る。
と言っても、まだ俺も親父の保護下にあるんだけどな。
それでも、来年から俺も親父の会社の手伝いを始めるんだ。」
英輔は自分のことをいろいろと話してくれた。
父親が経営する事業を大学4年生になった来年から英輔も勉強を始め仕事を手伝うと。
英輔は藤堂家のしきたりを守り18歳で好きでもない私と結婚した。
それも、入籍を拒む私に条件を付けての結婚だった。
入籍後、別居し学校も別々になり全く会うこともなくなった私たち。
それぞれに恋人を作り生活をしていた。
そんな私たちでも子供に恵まれ生まれた子は藤堂家の跡取りとなる御曹司だ。
子供を得た英輔は紛れもなく次期社長の座を得ることができる。
どんないきさつでもどんな過程があったとしても今の英輔には怖いものなどはないはず。
自信に満ち溢れ将来を約束された輝かしい未来が英輔を待っている。
そして、私はそんな英輔を拒みつづけ逃げ惑い困らせるだけ困らせて離婚された。
なのに、これ以上英輔の援助はもらえない。