結婚してください
放課後になると英輔が迎えに教室へ現れる。
「亜紀、帰るぞ。急げよ、親父を待たせているんだから。」
「あ、はい。」
流石に藤堂家の当主を待たせるわけには行かず、急いで荷物をまとめ準備をする。
「荷物貸せ。早く来い。」
今日に限って多かった私の荷物を英輔が一つ持ってくれた。
「重いよ、それ。」
「遅れるとまずいから急げ。」
荷物には何も言わず急いで迎えの車のところまで行く。
いつもの黒塗り車だ。英輔の専用車。
乗り心地は悪くないが、気持ち的にはあまり嬉しくない。
車に乗せられるとそのまま屋敷の方へと向かうかと思えば、そうではなくどこかのお店へと入っていった。
「藤堂様、お待ち申し上げておりました。こちらへどうぞ。」
「じゃあ 彼女を頼むよ。」
「畏まりました。」
既に準備がされていた部屋へと行くと、そこには可愛いドレスが用意されていて私はメイクアップされお嬢様へと変身して行く。
プロのメイクにヘアーブロー、爪も綺麗に手入れされ、どこから見てもお金持ちのご令嬢に仕上がっている。
プロとは恐ろしい・・・・自分の姿を鏡で見て驚いた。