結婚してください

一方、藤堂家の屋敷では柴崎さんが英輔にまた報告書を渡していた。


「今度はなんだ?」


「番号が変わっていますが、山崎幸喜から奥様への電話がこれだけ頻繁にかかっています。」


「またか」


渡された報告書を見もせずに柴崎さんに突き返した。


そして英輔は頭を抱え込んで悩んでいた。


「見ないのですか?」


「見てどうする。 亜紀と山崎がヨリを戻したんだろ?」


「そうお思いならこれを見るべきです。」


柴崎さんが英輔に書類を見るように目の前に突き出した。


英輔は渋々書類を手に取り目を通す。


「?! これは・・・」



「はい。奥様は殆ど会話をされていません。
山崎から一方的に電話がかかりそれを直ぐ切られているようです。」



「亜紀・・・・」



「英輔様、来週はバレンタインデーですよ。
海外ではその日は男女の愛を確かめ合う日でもあります。
奥様ともう一度話し合われては。」



「亜紀は俺を受け入れてくれるだろうか?」



柴崎さんは最高の笑みを英輔に送った。


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