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前回のディナーは夕方に迎えに来た英輔だが、この日は午後になるとやって来た。
「今日も綺麗だよ。」
穏やかな英輔の微笑みに私は安心している。
この前のように怒りに満ちた顔をされると泣きたくなるから。
差し出された英輔の手を取り車へと乗る。
この前と同じホテルへと向かった。
「ディナーには早いわ。」
「その前に渡したいものがあるんだ。」
ホテルへ着くまで何も話さなかった英輔。
でも、手を握り締めてくれた。
温かい英輔の指が私の指に絡む。
しっかり握られるとそれだけで幸せを感じてしまう。