結婚してください
・・別れは突然に
【英輔★side】
俺は離婚後も亜紀とはなんどか触れ合う機会があった。
それは欲望を満たすための触れ合いではなかった。
亜紀を愛しているから、その気持ちを伝えたかった。その手段の一つとして亜紀を抱いていた。
勿論、避妊はしない。
英紀の兄弟を作ってやりたいという気持ちからではない。
亜紀を自分のものとして縛り付けたいという独占欲からそんなことをしたのかもしれない。
それ以上に、愛しているから俺と亜紀の子ができれば亜紀も気持ちが変わるのではという期待もこめていた。
案の定、思惑通りに亜紀は妊娠した。
きっと亜紀は俺を恨んでいるだろう。
離婚したがっていた元妻を妊娠させたのだから。
けれど、亜紀は昔ほど俺を嫌っていない。
それはベッドの中で感じ取れる。
もしかして、亜紀もこの妊娠を喜んでくれているのではないかと思っている。
そうであって欲しい。
俺の子を拒否しないで欲しい。
俺の子を愛してほしい。