結婚してください
それから屋敷へ着くまでの間、英輔はなにも話そうとはしない。一人、窓の外を眺めていた。
それほど嫌な結婚なのに、これ以上無理して何の得になるんだろう。要は18歳の誕生日に結婚してくれる人を探せれば良いだけの話しでしょう?
「誕生日までにサインする人探したくない?」
「え?」
さすがに私のこの言葉には驚いている。どんなに嫌な私でもこんなセリフ吐かれたら無視出来ないよね?
「サインして欲しい人がいるんでしょう?
だったら、その人にお願いしてみたら?」
「なに言ってるんだ?」
「だから、私が協力するから。」
「ふざけるな。俺に後継者を諦めろと言うのか?
それに、欲しい女がいれば誰の指示も受けない。俺のそばに置いておく。
形だけの妻なんてそんなのは誰がなっても同じことだ。」
そうか、最初から分かってたことだった。
後継者として認められるには私との婚姻が必要だから。
そして、英輔の思い人は愛人として匿うつもりなんだ。なんだ、彼女はそれで満足しているんだ。
自分が英輔の妻でなくても愛情を独り占めできればそれで良いんだね。
形だけの妻か・・・・ハッキリと面と向かって言われると悲しいね。