結婚してください
「お前は亜紀を幸せにはできない。
だから、一日も早く離婚して欲しいんだ。」
まだ、山崎は亜紀のことを諦めていなかったのか。
なんてことだ!
「亜紀は今大事な時なんだ。
それに亜紀はお前とは会いたがっていない。」
「本人がそう言ったのか?
そうは思えない。
この前会った時、お前との生活に辛そうな顔をしていたんだ。」
そう言えば、亜紀は山崎に会っていた。
その時のことを言っているのか? しかし、亜紀は俺といて辛そうな顔なんかしていない。
むしろ俺の腕の中で眠る亜紀の顔はとても幸せな顔をしている。
「これ以上亜紀には構うな。
そうでなければストーカー行為としてそれなりの対応をさせてもらうぞ。
いいか、お前の期待に応えるつもりはない。
俺は亜紀と離婚するつもりはないし、亜紀を手放すつもりもない。
覚えておけ!」
怒り任せに携帯の電源ボタンを押すとそのまま床に携帯電話を投げつけた。
「今の会話どういうこと?」
振り返ってみると寝ていたはずの亜紀が目を覚まし体を起こした。