結婚してください

俺と亜紀は離婚する。



俺が亜紀に出来るのはそれ以外何もなかった。



亜紀を手に入れたいと何年間も思い続けて、とうそう最後まで亜紀を手に入れることは出来なかった。



最初は藤堂家の跡取りとして認めてもらうために必死だった。



それを何とか叶えるために亜紀に有利な条件を付けて結婚したが亜紀は俺から離れていった。



その後も俺から離れる亜紀を何とか俺のものにする計画を立てようと考えた。



俺から逃げる妻を追いかけ、どうしたら俺の思い通りにすることが出来るのか。



亜紀を追いかけるうちにそれが藤堂家の跡取りとしての努めから愛情へと変わっていくのに気付いた。



毎日の亜紀の生活の報告を受けるのが俺の楽しみになっていた。



けれど、気づいた時はもう遅かった。



亜紀が望んだのは俺との離婚だった。






< 279 / 442 >

この作品をシェア

pagetop