結婚してください

朝食後、しばらくして様子を見に亜紀の部屋へと行った。


「やあ、調子はどうだい?」


「しつこいわね。熱が下がったばかりだけど、ちゃんとベッドに寝ています!」


「それなら安心だ。
君は油断するとすぐにいなくなるからね。
逃避癖があるんだ。気になるのは仕方のないことだろ?」


「逃避癖」と言われるとかなり神経質になるようだ。


体がビクリと反応し一瞬表情が強張る。



「ああ、悪かった。今は、俺の頼みをきいてくれているんだったよね。」


「私の監視にきたの?
それとも婚姻届にサインさせるため?」


「両方かな?
でもね、安心していいよ。
無理強いするつもりはないからね。」


そう言ってにっこりと笑うと以前ほどの警戒心はないようで、身構えるようなこともしなくなった。


そんな亜紀を見て微笑んでしまう。


亜紀が俺に対し敵対心を持たなくなるのが一番だが、少しでも心を開いてくれればこんなに嬉しいことはない。


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