結婚してください
結局何も言えないまま食事会は終わった。
そして、私は英輔に自宅まで送ってもらった。
送ってもらう間、特に何も会話もなく家に着いてしまう。
「あの・・・どうしても通いはダメ?」
「すでに話しは付けてあるそうだから。観念すれば?
パーティでは俺に恥じかかせないように明日からよろしく頼むよ。」
「・・・・破談にはできないんですか?」
「何度言えば分かる?俺に後継者を諦めろって言うのか?
とにかく明日迎えに来るから、大人しく従え。」
車から降りると英輔は私を見ることなく車を走らせた。
そんなに後継者は大事なの?入籍日までに愛しの彼女を説得すれば良いのに。
私には理解できない。
私なら、好きな人がいたら絶対にその人と一緒になると思うよ。
私なら・・・・・・
そうか!
そうよね! どうせ結婚するなら一生に一度だもん。好きな人が良いに決まってる!
私が花嫁修業をまともにやる必要ないんだ。失敗して恥かかせれば諦めるだろうし、相手の女の人をその間に探せば良いのよ!
英輔の好きな人って誰だろう。絶対に突き止めてやる!
そして その人に藤堂家に入ってもらえば良いんだ。
きっと、英輔の好きになった人だからそれなりの家のお嬢様に決まってる!