結婚してください
「亜紀様、せっかく母乳がこれだけ出ているのですから、お願いしたいことがありますが。」
「なに?」
「私の知り合いが子供を産んだのですが母乳が全くでないんです。
良かったらその子に母乳を与えてもらえませんか?」
おい! 俺に何の相談もなくいきなりそんな話とんでもないぞ。
「ええ? 私が?」
「はい、是非、お力をお貸しください。」
とんでもない!
俺はその話を止めさせようと体を乗り出したら、看護師は俺にストップと言わんばかりに手で止めた。
何か考えがあるのか?
勝手なことをしてもし亜紀に何かあったらどうするんだ?!
けれど、看護師は医師からの指示で動いている。
その看護師を信用するしかない。
「私の母乳でいいの?」
「はい。その子の母親はしばらく入院が必要なので出来ればこちらでしばらくお預かりして母親が退院するまでお世話をしてやりたいと思いますが。」
亜紀は少し頭を抱え込んで悩んでいた。
「その赤ちゃんにはお兄ちゃんもいるんですよ。とても元気の良いお子さんで、亜紀様が遊び相手になってくれるととても有難いのですが。」
もしかして、それはお兄ちゃんというのは英紀で赤ちゃんというのは沙紀のことなのか?
看護師は俺の顔を見たので俺は何も言わずに相槌をうった。