結婚してください

あまり食欲がなかった。すると、坂田さんが厨房の方へ頼んでスープを作ってもらってきた。


とても有難かった。これだと全部飲めた。多少は胃に何かを入れることができる。


今は早く体をしっかりさせなければ。こんなふうにベッドに入る時間を減らさなければ。


その為には、やっぱり食べること。食事は大事。


「亜紀、気分はどうだい?」


ちょうど食事を終えた頃、英輔が沙紀ちゃんを抱っこして連れて来てくれた。


ニコニコ顔の可愛い女の子。この子は母親と離れてどんなに寂しい思いをしているのだろう?


そんなこの子の役にたちたい。


そう思うと体にも力が入る。


「そろそろ授乳の時間だろ? 昨夜は看護師が搾乳だけしたと聞いたよ。」


そう言えば、半分寝ぼけたかんじでいたけれど、誰かが搾乳に来ていた。


私、気づかずに寝てたの? 自分のことなのに・・・


「あ、じゃあ、そこの脱脂綿取ってくれる?」


「ああ、この消毒綿ね」


ベッド横には授乳時に使うものを置いている。


授乳させるまえに消毒綿で一度消毒した後に授乳させるのだ。


いつも通りに洋服のボタンを外し、消毒綿で拭いていく。


そして沙紀を受け取って授乳させる。


「よく飲んでるな」


「え?」


え?


えええ??


ちょっと? 英輔? 



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