結婚してください
・・思い出さがし
【英輔★side】
英紀の発疹も無事でてきた。熱も下がり今はホッと一安心している。
英紀の発熱に気づかなかった亜紀はかなり責任を感じていた。
あの後、亜紀の望みで子ども部屋にもう一つベッドを入れた。
亜紀がどうしても子ども達の面倒を見たいと言ってくれたのは嬉しかった。
我が子だと分かっているのだろうか?
子ども達を見るその瞳はまさに母親の瞳。
こんな状況なのに俺は幸せだと感じる。
「亜紀、少しは休んだらどうだい?
英紀も症状は落ち着いてきたし、亜紀も少しは休まなきゃいけないよ。」
亜紀は沙紀の出産で命を落としかけていた。
そんな亜紀がここまで回復してくれると嬉しい。
「私なら大丈夫よ。
お医者様もおっしゃってたわ。
少しは体を動かしたほうがいいって。
家に閉じこもってばかりは良くないのよ。」
まあ、確かにそうだ。
出来れば亜紀には気晴らしが必要だ。
「そうだ、
ねえ、亜紀。午後から散歩に出かけないか?」
亜紀には高校2年生以降の記憶が定かではない。
封じ込めているその記憶を呼び覚ませるかどうかは別にして、懐かしいあのころの記憶がどこまであるのか確認したい。
「少し歩くけど体力に自信はある?」
「勿論よ。私なら大丈夫よ。」
にっこり微笑んでくれる亜紀。
以前ならば考えられないほど俺に微笑んでくれる。
今すぐにでも抱きしめたいのに。
思いっきりキスしたい。
だけど、まだ その時期ではない。
今はまだ。