結婚してください
亜紀は気に入った果物を次々とカートへと入れていく。
ブドウにリンゴ、台湾バナナ。どれも俺が好きな果物だ。
亜紀も同じ果物が好きなんだな。と言っても、これを嫌う人っているのか?定番の果物だからな。
「あっ、ねえこれ前来た時に試食してなかった?」
「え?」
冷凍食品? そう言えば、珍しいものを試食させてくれた。
覚えている? 亜紀、あの時のことを・・・・
「確か、英輔ってば、カニのクリームコロッケの試食品を全部食べさせろって文句言ってたわね。
あの時の店員さんの顔。今でも覚えているわ。」
亜紀?
「ほら、確か、あの時はあの冷凍食品売り場の前あたりだったわよ」
覚えていた。
じゃあ、どこまで?
亜紀、君はどこまで覚えているんだ?
「どうしたの?」
「いや、よく覚えていたね。俺は売り場の場所までは覚えていなかったよ。」
「だって、英輔は初めて来るでしょう?私は何度も来てたからね。
あ、そうそう。ほら、あっちの肉売り場で豚足売ってたじゃない。
あれ見て英輔驚いてたわよね。」
そうだ。こんな薄っぺらいまがい物のような肉売り場に動物の足が置いてあった。
それに驚いたんだ。
それにいろんな試食品が珍しくて亜紀を困らせたんだ。
亜紀の方が俺より良く覚えている。俺の方が思い出させてもらったよ。
亜紀との楽しい買い物だった。