結婚してください

少し時間をおいて子ども部屋へと行くと既に授乳は終わっていた。


亜紀は俺の前で授乳させるのに抵抗があるようだ。それもそうだろう。


本人は高校生のつもりなのだから。そんな女の子だったら男に乳を見せたくはないだろう。


それに俺もあまり見ない方がいい。沙紀に嫉妬してしまうから。


あれはもともとは俺のものだと言いたくなる。


俺が欲しくなってしまうから。


「どうしたの?」


「いや、なんでもない」


つい、見てしまう。亜紀の胸を。


かなり欲求不満なのだろう。それにさっきスーパーで亜紀にキスをして余計に亜紀が欲しくなった。


この気持ちを抑えるのは大変だ。


亜紀は授乳が終わると沙紀を寝かしつけ今度は英紀を抱っこする。


「寂しかったのかな? 英紀君は。
英輔の方を見てるよ。抱っこしてあげたら?」


そう言うと亜紀は英紀を俺に渡す。


俺は英紀を抱っこすると窓際へと移動する。外の景色を見せてやると外へ遊びに出たそうにする。


「まだ病み上がりだからお外へはいけないわよ、英紀君。
それよりパパと一緒に遊びましょうね。」


え? パパ?


今、亜紀は俺のことをパパと呼んだ?


「なに? どうしたの?」


たぶん、本人は気付かずに言葉に出たのだろう。無意識のうちで出た言葉なんだろう。


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