結婚してください
翌朝、俺はいつも通り目を覚ました。
いつもならまだ眠る亜紀は今日は弁当作りの為に既に起きていた。
厨房ではシェフらと何か一騒ぎ起こしているようだった。かなり賑やかな厨房だ。
子ども達が気になりまずは子ども部屋へと向かう。
「おはようございます。
英紀様も沙紀様もとても元気ですよ。
英紀様はもう心配いりませんね。」
「それは良かった。今日、この子らを連れてマンションの方へ行こうかと思っていたのだが。」
「マンションへですか?
英紀様はまだ外出は控えたほうが良いかと。
たまにはお二人でお出かけになってはどうですか?
ここは私もいますし、子守もおりますから。」
信用のある看護師に子守が付いている。
それに病み上がりの子と赤ちゃんを連れまわすのは良くないだろう。
子ども達は彼女らに任せ亜紀と二人で出かけてみるか。
そうと決まれば、さっそく朝食を食べて出かける準備だ。
亜紀と二人でピクニックでも行くような気分だ。
こんな気分で朝を迎えられるなんて夢を見ているようだ。
ダイニングルームへ行くと亜紀が出来上がった弁当を持ってきた。
「英輔。はい、お弁当。
英輔の好きな玉子焼きとカニクリームコロッケをたくさん入れてるよ。」
屈託のない笑顔が俺の心を癒してくれる。
本当に愛らしいよ、君は。
どうしてここで抱きしめることができないんだろう。
どうしてここで思いっきりキスできないんだろう。