結婚してください
朝食を済ませると亜紀は沙紀へ授乳をし出かける準備をする。
その間に俺は今日も打ち合わせのキャンセルを入れる。
俺の私設秘書の草薙にスケジュールを組みなおさせしばらくは亜紀達を中心に過ごせるようにした。
今年の頑張り次第で来年からの新たな人生のスタートが変わる。
俺にとっては今は大事な時期。
だからと亜紀を放ってはおけない。
仕事は大事だが亜紀はもっと大事だ。
亜紀を失うわけにはいかないんだ。
なんとしても亜紀の記憶を取り戻し、亜紀に俺の気持ちを伝えなければ俺たちに未来はない。
その為にも、亜紀と行くマンションでは大切な時間になるだろう。
「そろそろ準備はできたかい?」
「ええ、もう準備は出来てるわ。行きましょうか。」
弁当箱を手提げバッグに入れるとにっこり微笑んでくれた。
その笑顔が俺には最高の贈り物だと亜紀は知っているのだろうか。