結婚してください

俺が運転する車で二人だけで出かける。


どれくらい振りだろうか?


亜紀は弁当の入った手提げを大事そうに膝の上においている。


外の景色を眺めるその顔に笑顔が見える。


「英紀君を連れていけなくて残念だったわね。」


本当にそうだ。あの子達を連れて行くことで亜紀に何か感じるものがあったのだろうが。


まあ、それでも亜紀と二人だけで過ごせるのだから。


なんでもいいホンの少し変化が生じればいい。


「英紀が完全に良くなったらまた一緒に行けばいいさ。」


また行こうと約束を取り付けておきたかった。亜紀と約束をすることで違和感なく外へ誘える。


もっと亜紀と二人になれる時間を作りたい。


それが亜紀をもとに戻すのに一番いいように思えるんだ。


「そうね。英紀君が元気になればいつでも行けるわよね?」


「ああ、そうさ」


特にこれと言った会話はなかったが、それでも、こんな会話でも二人で話している時は心が穏やかになる。


こんな時間が続いてほしいと思ってしまう。


が、そんな時間はすぐに終わる。マンションへと着くと二人車を降りマンションのエントランスへと向かう。


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