結婚してください

室内へと入っていくと亜紀は真っ先にリビングから見える外の景色に見入っていた。


「すてき!! 見て! 
外の景色最高よ!」


大きな窓がさらに魅力を増している。


亜紀はうっとりと外の景色を眺めている。


「素敵なところね。英輔はここへは来たことあるの?」


「ああ、あるよ。」


すると亜紀は少し沈んだ表情をする。


その表情の意味することろはなんなのだろう?


もしかして、記憶が戻りかけていて俺を非難しようとしている?


いったいその暗く落ち込んだような顔はなんなのかを知りたい。


本当は知りたくない。俺は怖いんだ。けれど、それでも気になってしまう。


「怒らないで聞いて欲しいの。」


改まった表情で、真っ直ぐ俺の目を見て亜紀は話し出した。


その目は暗く悲しそうにしていた。


俺は亜紀の記憶が戻りかけている?!と覚悟を決めた。


「英紀君と沙紀ちゃんだけど。
どうしても英輔にそっくりなの。
本当は英輔の子どもなんでしょう?」


え?


それって俺の隠し子かどうかを聞いている?ってことなのか?


確かにあの子たちは俺の子どもだ。当然、俺に似ていて当たり前だ。


だけど、君の子でもあるんだ。


なのにどう説明すればいい?


亜紀にどう話せばいいんだ?






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