結婚してください

「詳しくは知らないが、天文サークルのようなのに入っていたようだ。
俺は君とは別居中だったから、それ以上のことは知らないんだよ。」


そうだ。

俺は亜紀から何も聞かされていないんだ。


けれど、サークルを覚えていないしプラネタリウムも分からない。


と言うことは、俺と亜紀が初めて結ばれたあの夜も覚えていないのか。


「別居? 私たち結局あれからどうなったの?
英輔は婚姻届にサインしろって毎日のように書かせようとしてたわよね。
あの後どうなったの?」


え? 亜紀にはその記憶はないのか?


けれど、高校卒業後のアパートのことは覚えているのに。


そんな自分に都合の悪いところばかり記憶をなくすことが可能なのか?!


いや、こういうのに可能も不可能もない。


事実、亜紀は俺との記憶を封じているんだ。


亜紀のなかではまだ俺たちは夫婦にはなっていないんだ。


「それで、高校卒業後大学へ行った君は今はいくつだい?」


「初めは17の高校生だと思っていたの。
でも、記憶違いだと感じるようになって、それに、私も英輔も10代って顔じゃないでしょ?」


「ああ、そうだね。」


どこをどう見ても10代には見えない。


そんな外見的なことで自分が高校生ではないと判断したのか。


だとすると、今をどう感じている?



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