結婚してください

しかし亜紀はなかなか部屋から出てこない。


それでも俺は無言のまま居座った。


夕食の時間になると亜紀が部屋から出てきた。


「何も話すことはありません。お帰り下さい。」


「俺は話し合うまで帰らない。」


「勝手にすればいいわ。」


「ああ、勝手にする」


亜紀は俺を睨みつけるとそのままリビングの方へと行く。


両親と一緒に食事を取るようだ。


亜紀の義母が申し訳なさそうに夕食に誘ってくれたが俺は丁寧に断るとそのまま座り込みを続けた。


ここで、飲食すれば亜紀は俺を軽く見るだろう。


居座っている間は絶食してでも俺の話を聞いてもらう。


亜紀を失えば俺はこれからの生活に自信が持てない。


亜紀が手に入らないのに飯なんか食えるか!


俺の命に代えてでも絶対に亜紀に告げたいんだ。


俺の気持ちを。


分かってもらえるまで、俺は続ける。もう、これ以上離れているのは我慢ならない。






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