結婚してください
私の叫び声に驚いた母がやって来た。
そして英輔を見て救急車を呼んでくれた。
私は英輔を失う恐怖で涙が溢れ動けなかった。
「あき・・・あ・・き」
「やだっ!!! えいすけっ!」
救急隊に運ばれる間も取り乱していた私は救急車ではなく母の車で病院へと向かった。
救急車に遅れ病院へ到着すると腰を抜かしたようになって歩いていく。
私の体から力が抜けてしまい思うように動けない。
吐血して運ばれた病院は私が今診察を受けている病院だった。
そこの医者は私のことを知っていた。
「奥様、お体は大丈夫ですか?
ベッドをご用意しましょう。顔色が良くありませんよ。」
面識のある看護師だった。
私がお世話になった人たちだ。
これまでここで助けてもらった。
そう、私はここで出産した。
あの子は、沙紀は私が産んだ子よ!
そして、英輔はかけがえのない人。
英輔を失ったら・・・・ううん、大丈夫。
あの子たちを置いて英輔はどこにも行かないわ。
絶対に戻ってくる!
信じている、だから
英輔、一緒に帰ろう。あの屋敷へ。
私たちの家へ。