結婚してください

英輔の緊急手術は既に屋敷の方へも伝えられていた。


そこへ私が屋敷へ戻ったことで皆が喜んで迎え入れてくれた。


「亜紀様、沙紀様と英紀様がお待ちになっていますよ!」


「ええ、会いたいわ!」


急いで子ども部屋へと行くと、英紀と沙紀が泣いていた。


私に気づくと更に大泣きして抱っこを求めてきた。


「英紀!! 沙紀!!
ごめんね!!
ごめんね!!」


しっかり抱きしめてあげた。


こんなに可愛い我が子を今まで忘れていたなんて。


酷い母親だわ。あんなに英輔がこの子たちを愛してくれているのに、最低の母親だったわ。


子どもの前なのに涙が止まらなかった。


「亜紀様、ここはお任せください。
英輔様が心配でしょうから。」


「ええ、英輔は今手術中なの。
この子たちが心配で様子を見に来ただけなの。
後は任せるわ。お願いね。」


「はい!」


子ども達の顔をしっかり見つめた。


大丈夫よ。パパは大丈夫だからね、と自分に言い聞かせるように心の中で言った。



< 350 / 442 >

この作品をシェア

pagetop