結婚してください
英輔の緊急手術は既に屋敷の方へも伝えられていた。
そこへ私が屋敷へ戻ったことで皆が喜んで迎え入れてくれた。
「亜紀様、沙紀様と英紀様がお待ちになっていますよ!」
「ええ、会いたいわ!」
急いで子ども部屋へと行くと、英紀と沙紀が泣いていた。
私に気づくと更に大泣きして抱っこを求めてきた。
「英紀!! 沙紀!!
ごめんね!!
ごめんね!!」
しっかり抱きしめてあげた。
こんなに可愛い我が子を今まで忘れていたなんて。
酷い母親だわ。あんなに英輔がこの子たちを愛してくれているのに、最低の母親だったわ。
子どもの前なのに涙が止まらなかった。
「亜紀様、ここはお任せください。
英輔様が心配でしょうから。」
「ええ、英輔は今手術中なの。
この子たちが心配で様子を見に来ただけなの。
後は任せるわ。お願いね。」
「はい!」
子ども達の顔をしっかり見つめた。
大丈夫よ。パパは大丈夫だからね、と自分に言い聞かせるように心の中で言った。