結婚してください

英輔の手術は難しいものではなかった。


術後、食事制限などはあるがそれでも2週間程度で退院が出来るとのことだった。


退院後、食事とストレスに注意することで胃潰瘍の再発は防げそうだ。


その説明を聞いた私は安心してそのまま床に座り込んでしまう。


「奥様も体調の回復が遅れているのですから、あまりご無理はなさらないで下さい。
ご主人はとても気にかけていらっしゃいましたよ。」


私の担当医だったお医者様だ。


英輔の手術も担当してくれた。とても信頼のおける医者だ。


私はその日は医者の勧めで一度家へと戻ることにした。


義父が英輔に付き添うからと私は子ども達が待つ家へ帰るよう病院から帰された。


家で寂しく待っている子ども達の為に義父の言葉に甘えることにした。


家では英紀と沙紀が待っていた。


そして、いい加減な搾乳しかしていなかった私のお乳を沙紀はしっかり飲んでくれた。


張っていたお乳がスッキリとしてとても体が楽になった感じだ。


こんな可愛い子のお乳を取り上げるなんて、なんてバカなことをしていたんだろう。


私は本当に母親失格だわ。


「沙紀、いっぱい飲みなさいね。」


英輔に良く似た子。この子がほかの女が産んだ子だなんて、何故、そんなことを思ったのだろう。


今思えばおかしな話よね。


私と英輔の子どもなのに。


愛おしい我が子なのに。






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