結婚してください
「私は何をすれば良いの? 花嫁修業があるんでしょう?」
「今日は部屋で休むと良い。柴崎、案内してやれ。俺も後から行く。」
そう言うと、英輔はさっさとどこかの部屋へと向かった。
「亜紀様、お部屋を案内致します。どうぞ、こちらへ。」
この柴崎と言う人は藤堂家の執事と言うのを後で聞いた。この人に私が使うという部屋まで案内してもらう。
「あの、英輔さんはどちらへ? 藤沢様って藤沢愛華って人でしょう?」
「はい、そうですよ。そのうち英輔様よりご紹介があると思いますよ。とても素敵なお嬢様ですから。」
「英輔さんの彼女ですよね? その人」
「・・・いえ、そうではありませんが。」
言葉に詰まると言うことは、そう言う関係なんだ。今も続いているってことだよね? なのに婚約者の私がいる屋敷で平気で会うんだね。
それはこれまで普通にしてきたこと。私がいきなり二人の空間に入り込んでいるのか。
「知ってますから隠さないで下さい。それに、私は彼女を歓迎したいので是非会わせて欲しいんです。」
「歓迎とはどういう意味でしょう?」
「そのままの意味です。是非彼女に会いたいのです。」
私の真剣な顔に柴崎さんは戸惑っていたようだ。