結婚してください
英輔とは高校入学時から付き合っていた。
私と同じような環境で育ちとても話が合うし、容姿端麗な英輔は私の心を掴んで放さなかった。
でも、英輔には家が決めた婚約者がいた。
その婚約者が私たちと同じ世界の娘だったら、どこかの令嬢だったら私も諦めた。
だって、この世界は家同士で決めた婚約者との結婚は私たちの義務なのだから。
家の発展の為に家に尽くすのが当たり前の世界。
だから、英輔に婚約者がいてもそれはそれで諦めはついていた。
でも、英輔の婚約者は令嬢どころか貧乏な家の娘。
英輔にはとても似合わない娘。
なのに、何故、あんなみすぼらしい娘が英輔の婚約者?!
だったら、私の方が家柄も良いし藤堂家には恥ずかしくないふさわしい家柄なのだから。
諦められるわけがないわ。
それに英輔の恋人は私。
このまま英輔の心を掴んでいれば、きっと私を選んでくれると思っていた。