結婚してください

寂しい日々が続くと人恋しくなる。


今夜は久しぶりにパーティへ行こうかしら?


気晴らしに良いわよね?


「お父様は?」


「本日は戻られないとのことです。」


「そうなの? まあいいわ。
私、今日久しぶりにパーティへ行くわ。支度をして頂戴。」


「ですが、旦那様の許可もなく危ないことはおやめください。
まだ、例のストーカーの件が」


「うるさいわね。早く準備して!」


そう、まだ 例の英輔に似たあの人のことが解決していない。


でも、あれからかなりの日数が過ぎている。


あれ以来何もない。


きっと 大丈夫よ。


第一、屋敷から護衛が付くしパーティ会場もあの男が入れるような所じゃないわ。


何も起こりはしないわ。起こりようがないもの。大丈夫よ。


そして、


久しぶりのパーティを楽しもうとした。


でも、私って本当に浅はかな考えしかしないのね。


パーティ会場に英輔らが姿を現すのは常識で考えて分かること。


英輔が奥様と一緒にパーティへと参加していた。


会場で、仲睦まじい英輔夫婦の姿にショックを受けるかと思った。


が、不思議なことに以前のような感情はなかった。


心を痛めるかと思ったけれど、英輔の姿をみても冷静でいられた。


これってどういうこと?


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