結婚してください
【英輔★side】
今日も、愛華が俺に会いに来た。
いつもの我が侭だ。俺の女として扱うのを条件に別れた。
家を相続する為には愛華は切り捨てなければならない。しかし、高校入学時から付き合って来た女だ。そう簡単には別れられない。
俺のこともだが、家のことも良く理解している。お互い似た境遇で育ったんだ。話も合うし一緒に居て安心できる。なんの心配も要らない。だから俺にとっては楽な女だ。
「そろそろ帰れ。遅くなるぞ。」
「そうね。もう少し一緒にいたいけど無理そうね。それに、許婚に対して少し後ろめたい気持ちあるんでしょう? 私たちがまだ続いているから。」
「そんなものはない。アイツは俺の妻になる女だ。これ以上幸せなことはないだろう?」
「そうね。」
愛華はクスッっと笑うと俺に軽くキスをして部屋を出て行く。