結婚してください

「じゃあ、明日もまた来るわ。」


「明日は予定がある。お前の相手してる暇はない。」


「じゃあ この指輪のお礼に今度食事に行きましょうよ。」


「考えとくよ。」


交際の印に渡した指輪。亜紀への婚約指輪を購入した時に一緒に愛華への指輪も購入した。


指輪なんてどんなものが良いのか俺には分からない。だから、亜紀への婚約指輪も愛華への指輪も店が進めるものをそのまま買った。


そう言えば、亜紀は今夜はまだ見ていない。大人しく部屋に居るのだろうか?


最近、屋敷内を彷徨くと柴崎から報告が上がっていた。少し様子を見てくるか。


「亜紀、入るぞ?」


亜紀の部屋をノックするが返事がなくそのままドアを開けた。


ベッドには姿はない。またソファーで眠っているのか?


しかし、ソファーにも亜紀の姿はない。勉強机の上を見ると購入した婚約指輪がラッピングされたまま放置されていた。


「アイツ、まだつけていないのか?」


そして、携帯電話もそのままテーブルの上に置かれたままだ。


また屋敷内のどこかに居るのだろう。


柴崎を呼んで亜紀を探すことにした。


しかし、どれだけ探しても亜紀の姿はなかった。
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