結婚してください

「必要ないので、預かって下さい。」


「申し訳ありませんが、これは・・・」


「いいわ。じゃあ 橋の上から捨てるわよ。」


流石に捨てると言われると渋々預かった柴崎さん。眉間にシワを寄せるその顔はまるで英輔を見ているよう。


この家の人はみんな同じ顔をするんだね。


息が詰まりそう。


「じゃあ、行ってきます。今夜は帰りませんから、そのつもりで。」


「日付が変わる前にお戻り下さい。それだけは守って下さい。」


「じゃあ、二度と戻らない。」


「亜紀様。ご理解下さい。」


「理解不可能よ。こんな家、出て行きたいの我慢してるんだから、外泊くらい認めなさいよ!」


パーティ以来、すっかり性格が悪くなったと自分でも感じる。しかもやりたい放題。


けれど、婚約破棄にする為にはそれしか方法はない。私の素行の悪さを英輔の父親に認めさせ破談にするしか今の私にできる手段が思いつかない。

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