結婚してください

・・かごの中の鳥


英輔の目の前で善道さんとキスしたものだから、流石に英輔を怒らせてしまった。


『自分が藤堂家の嫁になるのだと自覚を持ってくれないと困る。』


そんな冷たいセリフを吐き捨てて言った英輔。


柴崎さんからも同じようなお小言を言われた。


そして、預けていた婚約指輪を渡された。


「必ず身につけてください。それから、今後一切伊澤家からのお車はお断り致します。
よろしいですね。」


契約は不履行となったから、もう車は来ない。


また、私はこの家で一人ぼっちになる。


「もう伊澤家からの車は来ないわ。」


私は相変わらずこの家では邪魔者扱い。


名ばかりの婚約者。


何故、お父さんもお母さんも黙って私を藤堂家に嫁がせようとするんだろう?


ああ、そうか、お金?


莫大なお金がお父さんに渡るんだろうね。


結納金って言うんだっけ? そんなお金が・・・


なんだ、私って早い話身売りと同じじゃない。


だから、英輔はあんなふうに強気でいるし、平気で愛人囲うんだ。


どんなに足掻いても私は家に戻されることはないんだ。


私ってバカみたい・・・・


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