結婚してください
・・初恋の人
翌日、学校の帰りにさおりと遊びに出かけるからと英輔とは別行動をした。
久しぶりの自由な空間に酔いつぶれそうになる。
そして、その行き先は合コン場所になっているカラオケ店だ。
いつも同じ学園の合コンしか参加していなかったさおりが、どういう風の吹き回しか一般の高校生相手の合コンの誘いに乗っていた。
珍しいこともあるものだと思っていた。
「中学校の時の友達がね誘ってくれたんだ。やっぱり友達は大事にしなきゃね♪」
「そっか。納得した。」
友達からの頼みだったんだ。私と同じだね。
でも、他の高校だから知らない人ばかり。
「あれ? 田所? 田所じゃね?」
え? 私を呼んでいるのは誰?
「俺だよ、ほら 同じ中学だった山崎幸喜!」
「ああ! 山崎! 久しぶり! ええ~ ちっとも変わってないね。」
「あ、ひっでー これでも高校になってから俺モテるんだぞ。」
「うっそー 山崎が? 信じらんないわ。」
「けど、マジ、お前、可愛くなったんじゃね?」
え? 山崎ってそんなセリフ言うヤツだった? そのほうが信じられない!
私と山崎とで盛り上がってしまったものだから、さおりも他の女子もあまり良い顔をしなかった。
せっかくの合コンがまるでそこだけ同窓会。
それでも、私には嬉しくて気が休まるからどうしても山崎との時間をもっと楽しみたかった。
その後、みんなでカラオケ歌ったり、じゃんけん遊びをして負けたら罰ゲームをして楽しんだ。
ほんの些細な幸せなのだろうと思う。
こんな時間がもっとくれば。良いのに。 あの屋敷を忘れさせてくれるほどの時間が欲しい。
でも、あっという間に時間は過ぎていきお開きとなる。
すると、山崎が久しぶりだからこの後もお茶しないか?と誘ってきた。
山崎はスポーツマン系の爽やかなイケメン風な風貌になっていた。
だから女子からのハート攻撃を浴びていたけども、みんな断って私のところへと来ていた。
「うん、いいよ。」
まだ、帰りたくない私は山崎と二人で街中を散歩することにした。