結婚してください
「なんであんなセレブ学校へ行ったんだ?
俺だけじゃない。みんな同じ学校へ行くものだと思っていたのに。
あんな学校へ行きやがってさ・・・・」
山崎の言いたいことは分かる。あの時、友達みんなと「同じ高校行こうね!」と一緒に受験勉強頑張っていたから。
私だって行きたかった。行きたくて受験勉強頑張っていたのに。行かせてもらえなかったんだ。
「あんなに勉強してたじゃないか。なのに、なんで?やっぱり金持ち相手が良いわけ?
玉の輿に乗りたくて、高校からあんな学校を狙ったのか?」
そんなことしない私だって知ってるでしょう?
そんな私じゃない。 それ知ってるくせに山崎は意地悪だ。
でも答えようのない私の目から涙が流れる。
「ごめん・・・・俺、」
山崎は、私の涙を指で拭いてくれた。大きな手だ。男の人の手ってこんなに大きいんだね。だけど、優しく涙を拭き取ってくれる。
なんだろう? 山崎と一緒にいると昔を思い出して心が温かくなる。
ああ、そうだ。私、山崎のことずっと好きだったんだ。
初恋の人。でも、振られたから忘れることにしてたんだ。
山崎のこと心の中から追い出すように努力していた時期があったんだ。
そんなこと思い出させるなんて罪な人だよ。そんなに優しくしないで。
涙が止まらなくなった。
そんな私を山崎は抱きしめてくれた。
え? なんで?
「ごめん。あんな学校じゃお前釣り合い取れないよな? 苦労してるんじゃないのか?
無理しているんだろう?
だったら、俺たちの学校へ来いよ!
戻って来いよ!」
「山崎・・・・・
戻りたいよ。私だって、あんな学校行きたくない!」
山崎の胸の中で思いっきり泣いてしまった。
すると、いきなり背後から誰かに私の体を引っ張られ、山崎と引き離された。