結婚してください
「うん、そうなんだ。家同士で決めた相手。
私は、嫌なんだけどね。
なんとかこの縁談を破談にする方法を考え中なんだ。」
「けど、その婚約者には彼女がいるんだろ?
その彼女はどうなるんだ?」
何も変わりないのよ。この世界では・・・彼女は彼女のまま、ずっとよ。
「愛人として囲うんでしょ?」
「げっ、それってドラマの世界じゃねえの?」
そっか、普通の家庭だとそうだよね。
うん、確かにドラマの世界だわw
「それが当たり前の世界なのよ。だから、昨日も言われたわ。
私が男作るのは自由だって。ただ、往来でみっともない真似したのが許せないんだってよ。」
「なんだそれ?
って言うことはだよ? お前に彼氏いても良いんだ。」
そういうことになるよね。 けど、結局は不毛な恋になっちゃうんだよね?
悲しいね。好きな人と両思いになったとしてもそれが不毛な恋で終わるなんて。
英輔だって藤沢愛華とは結ばれたいはずよね。
私だって、好きな人と結婚したいよ。
英輔の誕生日まで、もう2ヶ月ないんだ。
「じゃあ、また明日も電話していい?」
「ああ、当たり前だ。俺も亜紀とはたくさん喋りたいから。」
「うん、じゃ おやすみ」
「おやすみ」
一日の最後でやっと安らぐ時間が持てる。心がとても落ち着いて幸せな気分になる。
毎日、こんな時間を過ごせたらいいなぁ。
私にとってはほんのささやかな時間だ。