結婚してください
それから毎日山崎と夜電話で話すようになった。
こんな私の愚痴をいっぱい聞いてくれる。
「ごめんね。山崎には迷惑だったよね。毎日電話に付き合ってくれて、私、嬉しいよ。」
「迷惑なんて言うなよ。俺、前にお前のことこっぴどく振ったの後悔してたんだ。だから、少しでも亜紀の役に立てたら嬉しいんだ。」
そう、中学時代、山崎に告白して振られたんだ。
あの当時、受験生で入試のための勉強を必死でやっている時だった。そんな時に、恋愛を持ち出さないで欲しいと言われたのに、告白したんだ。
「俺、あの時本当は嬉しかったんだ。でも、お前の告白受けてしまうと、俺、勉強が手につかなくなってしまうから、お前を受け入れられなかったんだ。」
そうだったんだ。 私のことが嫌いじゃなかったんだね。
「本当は俺は亜紀のこと好きだ。今も、それは変わらない。だから、お前に婚約者がいるなんて、信じられなくて・・・」
嘘? 本当に? 私のこと好き?
「だから、この再会は俺にとっては運命なのかな?ってそう思えたのに。そうじゃなかったんだって悲しくなってた。」
私もこの再会には意味があると思ったくらい。
でも、結局は英輔に引き離された。
「私も同じ気持ちだよ。山崎のこと、思い出して泣いちゃうよ。会いたくて。」
また昔の気持ちが表に出てしまう。山崎を好きだった思いが。
「いつか会えないかな? やっぱり婚約者がいると無理?」
無理なことない。私が他の男といても平気なヤツだから。
英輔だって堂々と自宅へ恋人を呼び寄せているんだから。
私にもそんな自由があってもいい筈。自宅へ呼び寄せる? それだと、目立たないよね?英輔もやっている事だし。
「ちょっとまって、私に考えがあるから。この件は私に任せてみて!」
「あ、ああ。いいよ。」
賭けに出てみよう。私が英輔と同じことしても許してもらえないのなら私にも考えがある。
やれるだけのことをやってみよう。