結婚してください
翌朝、朝食の時に英輔にお願いをしてみた。懇願するのはどうかと思うけど、あくまでも、今は他人の家。お世話になっている身だからここはお願いするのが筋かと思った。
「友達を招待したい?」
「そう、藤堂さん言ったわよね?愛人は囲っても問題ないって。私に男がいてもいいんでしょう?
だったら問題ないじゃない。ああ、一応、あなたの恋人が来ない日を選ばせて貰うわ。そして、あの部屋、私も使わせてもらうから。それで良いでしょう?」
何故そこで睨まれなきゃいけないの?
「サインすれば認める。」
やはりそうきたか・・・・そのセリフ言われる覚悟はしていた。
「サインしないわ。」
「じゃあ、認めない。今後一切交友関係は絶ってもらう。それから、今毎日電話しているようだけど、それも止めてもらう。」
「人権侵害じゃないの? あなたがしていることは行き過ぎよ。」
私を人だと思っていないのね。あくまでも自分がこの家の跡継ぎとなるべく道具だと思っているんだわ。
そんなの絶対に許せない。
「それじゃあ聞くけど。その男との情事を認めていて、いざ、俺の誕生日にサインできるのか?」
「無理よ」
「そんなにこの婚姻が嫌なら俺の親父に直談判することだな。それには俺も応援してやってもいいぞ。俺は婚約者なんて誰でもいいんだからな。」
「だったら、あなたのお父さんと会える機会を作って!
絶対に藤堂さんとの婚約を破棄にしてやるわ。
そうすると藤堂さんも好きな人と結婚できるでしょ?!」
「いいだろう。」
こんな話になるとは思わなかった。
山崎との逢引はまだ後の話。もし、縁談を破談にできれば私は普通の高校へ転校できるはず。
そして、その時にまた山崎に告白すればいいのだから。
今はこの破談に力を入れるのが先だわ。
ごめん、山崎、もう少し待ってて。
私、絶対に、山崎のところに戻ってくるから。