結婚してください

「はい。全て通話相手は例の山崎という男です。
会話の内容も確認できるようになっていますが、どうなさいますか？」


「その記録はそのまま保存しておけ。あいつの男には興味ない。」


「そうですか？　最終的には亜紀様の男関係全て切り捨てられてますよね？本当にサインして貰いたいなら、亜紀様のご希望通り亜紀様の恋人を認められては如何ですか？
きっと近いうちにサインして下さいますよ。」


「亜紀には恋人は作らせない。アイツは藤堂家の嫁だろう。嫁は嫁らしくしてもらう。」


「ではどうしてお父上の命令に従わず花嫁修業を受けさせないのですか？　この家から逃がしたい反面、本当は離したくないのではないですか？」


「どういう意味だ？」


柴崎さんと英輔のそんな会話があるとは知らず、私はこの縁談を破談にすべくない知恵を絞っていた。


それでも何も良い案は浮かばず英輔の父親に会う日を待つことになる。


入籍後にしか会えないということも知らずに。