結婚してください

・・パーティドレスでときめいて


相変わらず私たちの生活に変化はない。

しかし、季節は早いもので梅雨に入る。


「亜紀様、明日、パーティ用のドレスが届きます。届きましたらサイズあわせなどを致しますのでそのつもりでいて下さい。」


あのセレブの学園、北陽学園では毎年梅雨の時期に「紫陽花の宴」と称してパーティが行われる。

梅雨時の鬱陶しい気分を晴らす為に考えられた金持ち思考のパーティだ。


「パーティへは行かない。」


「そうは参りません。藤堂家にふさわしいドレスを英輔様がご準備なさっているんですよ。英輔様のパートナーとして恥ずかしくないようにパーティへは参加して下さい。」


柴崎さんも相変わらず頭の固い人。学校のパーティ一つくらいサボっても大丈夫よ。何も言われることなんてないわ。


第一、私が行かない方が英輔だって藤沢愛華をエスコートできるんだし。


学校では有名な二人なんでしょ? それを私が邪魔しても私の居場所がなくなるだけ。


「パーティでは大人しく俺の隣にいればそれでいい。お前は俺の婚約者なんだから。そのつもりでいろ。」


いつも命令口調だわ。私を何だと思っているの?


「残念ながらその日は私事で行けません。そもそもパーティの参加は自由のはず。だったら、藤堂さんが一人で行けばいい。

案外、あちらで藤堂さんにエスコートして貰いたい人が待っているんじゃないの?」



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