結婚してください
そして、いよいよパーティ当日。
ドレスアップしたものの、私は腹痛を理由にパーティを欠席すると言い張った。
「腹痛? 本当なのか?」
「今朝食べたものがよくなかったんでしょう。痛いものは痛いの!」
部屋に篭っていた私のところへ英輔が様子を見にやって来た。
ドレスアップし既に準備は出来ていた。しかし、最後の最後まで私は粘った。
絶対にこのパーティへは参加しない!と。
「柴崎、医者を呼べ。」
医者・・・ちょっと それは困る。仮病がバレてしまう!
「早く着替えさせてベッドに入れ。」
「英輔様、パーティへはどうなさいますか?」
「亜紀が行かないのなら俺も行ける訳ないだろう。」
え・・・それはもっと困る。英輔は藤沢愛華のエスコートをしてもらわなきゃいけないのに。
「それはダメ! 藤堂家がパーティを盛り上げなくて誰がやるの?!
私は大丈夫だから、ね、パーティへは行ってきて。」
そうよ。英輔が行くのをみんなが待っているんだから。藤沢愛華だけじゃない。あの学園の生徒みんなが待っている人なのよこの人は。
「それより、起きていても大丈夫なのか? お前は何も心配せずに寝ていろ。」
え?ほんとうにパーティへは行かないの?
私なんか放っておけばいいのに。
「顔色が少し良くないな。熱は?」
ちょっと・・・困るっ。ソファーに腰掛け思いっきり顔を下に向けた。
すると、英輔は額に触れようとした手を引っ込めて溜息をついた。
顔を下向けたので英輔の表情は分からないが、英輔が拳を握っているのが見えた。