結婚してください

怒っているの? それとも? いったいどんな顔しているんだろう?


気になって顔を上げてみると、その時には英輔は既に私に背を向け部屋を出て行こうとしていた。



「パーティへ行って来る。後は頼んだぞ。」


柴崎さんにそう言うと、英輔はパーティへと向かった。


「亜紀様、医者へは連絡しませんのでご安心下さい。
英輔様には適当に私の方から報告しておきます。」


柴崎さんには全てお見通しのようだった。私が仮病を使ったのも、パーティへ行きたくないということも。


「亜紀様と一緒にパーティへ行くのを楽しみにされていたみたいですよ。」


「え?」


「この前、ドレスの試着をされた時、英輔様は亜紀様のドレス姿に見惚れていらしゃいましたからね。」


何を言っているの、この人は?!


それ的外れだよ。それ、絶対に違うから。


「あの時、英輔様、何も申されませんでしたでしょう? 言葉に出来なかったんですよ。」


「え・・・と。でも、そんなことは。
それに、かなり嫌われていますから、私は・・・・」


「そうでしょうか? 亜紀様のためにかなり尽くされていると思いますよ。心当たりありますよね? あの英輔様が誰かのために何か行動を起こすのは珍しいことですよ。」


尽くす?私に? ぜんぜん分からない。


いつも横暴だし。私がしたいことは何もさせてくれない。邪魔ばかり。


なのに、柴崎さんの言っている意味が分からない。


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