結婚してください
私は英輔に抱きかかえられ車に乗せられると急ぎ屋敷へと帰っていった。
屋敷に戻ると柴崎さんやメイド頭の岬さん、私の専属メイドの坂田さんなどを始め屋敷中の人が大騒動に。
倒れた私を部屋まで抱きかかえて行った英輔に柴崎さんは少し嬉しそうな顔をしていた。
そしてお医者様からの診察を受け、単なる風邪だと診断された。しかし、体が細いからと栄養不足を問われ英輔は申し訳なさそうな顔をしていた。
「このところ亜紀様は食欲がなかったようですから、無理もありません。あまりお気になさらないように。」
「抱いたら軽くなっていた。」
「そうでしたか。では、しっかり養生していただきましょう。」
柴崎さんはメイドたちに医者からの薬や食事などの指示を出していた。
英輔は、私の看病をするからと、その夜は私のベッドの横に椅子を持ってきて座って付いていてくれた。
英輔が横にいるとは知らず、私は、山崎ら中学時代の友達との楽しい時間を夢に見ていた。
「やまさき・・・・」
寝言でその夜、私は何度も山崎の名前を口にしていた。