隣の席の苦手なキミと




「頭…上げて……」



私がそう言うと加藤さんは頭を上げる。



「わざわざ謝りに来てくれてありがとう。」



加藤さんには散々いじめられた。学校も嫌で嫌でたまらなかった。



今までされたことを考えたら嫌な気持ちになるし、加藤さんを好きになれない。



だけど、自分のしたことを認めて謝りに来るっていうのは、

当たり前かもしれないけど勇気のいることだと思うから。



「許してあげてもいいよ。」



私がそうやって笑うと加藤さんも笑顔に変わる。



「なにそれっ、上からすぎる。……ありがとう。」



本当は仲良くしたかったんだ、加藤さんと。


『白崎さんっ、それ、手伝うよ。』



まだいじめられる前、すごく優しかったんだ。加藤さんは。



もしも、私が加藤さんを変えてしまったのなら私にも罪はある。



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