友達以上恋人未満
「女ってよくわかんねー」
俯いたままのあたしに健の表情は見えない。
見たくない。
見たら泣いてしまう。
あたしは健の足音が聞こえなくなるのを、じっと聞いているだけだった。
健。
あたし追い掛ければよかったの?
だけどね、親友のあたしは追い掛けるなんてこと、できないんだ。
親友はただの親友で、それ以上の、なんでもないんだから。
……素直になれない。
中学生のころは、素直に何でも言えてたのに。
どうしちゃったんだろう、あたし達。
俯くあたしの隣の席に、健はいない。
ぽっかり開いた心にチャイムの音が虚しく響いた。