友達以上恋人未満
―ガチャ
気持ちのいい風が吹いた。
だけど、健はいなくて、
「どこ、いったの?」
涙が出そうになる。
だけど、必死に堪えた。
健の方が悲しいかもしれないのに、あたしが泣いてらんない!
あたしが再びドアノブに手をかけたとき、
「咲?」
…え。
………健?
今、健の声がした。
上をみると、健が見下ろしていた。
……あ。
今気付いた。
健、あたしの好きな服装だ。
あたしも健のこと、わかってなかった、ね。
「なんか、用?」
―ズキッ
いつも優しかった健。
喧嘩しても、なんだかんだいいながら謝ってくれた健。
あたしが悪い時だって、そうだった。
けど、今は冷たい視線。いつもの優しい健じゃなかった。
当たり前だよね?
だってあたしがいけないんだもん。