友達以上恋人未満
‐仁SIDE‐
こんなにも、好きな女を
俺は汚してしまった。
俺は本物の馬鹿かもしれない。
部屋で健に殴られ座り込んでいる俺。
「情けねえ…。」
部屋には俺と寝ている女だけ。
にしても、こいつ…、
「お前、いつまで寝たふりしてんの?」
するとビクッと女の肩が揺れた。
こいつの名前、なんだっけ。
たしか、鈴?
苗字なんかほとんど聞かないからわかんねーけど。
「お前さ、初めっから起きてたろ。何でとめないわけ?」
「…あんたは止めてもらいたかったんでしょ?」
………。
なんだよ、この女。
するといきなりむくりと起き上がった。
「だって、別に外に連れ出してラブホなんかに行っちゃえば健にとめられなかったはずだよ?
あんた、頭いいし、そんくらいわかってたはずじゃん。
だからあんたは健に止めてもらいたかったんだよ。」
わかってんだよ。
そんくらい。
外に連れ出せばいいくらい、
わかってた。
だけど、それが出来なかったんだ。