友達以上恋人未満
「なあ」
一人、俯いて考え事をしていると、“誰か”に話し掛けられた。
“誰か”っていうのは変かな?
こんなにも知ってるから。
ゆっくり、声のする方に顔をあげた。
「健。」
そう、健がいた。
今、1番声が聞きたくて、今、1番会いたくない人物。
「何で、先行った?」
あ、健、怒ってる。
わかるんだ。
なんとなくだけど。
少し声が低かったり、少し表情が暗かったり。
そんな少しの変化も、ずっと一緒にいたから、わかるようになってしまった。
「別に…」
「別に、じゃわかんねーよ」
わかってよ。
あたしが健のこと、わかるみたいに、わかってよ…。