第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「まだ朝だし、今日は依頼も無い、僕の副業も無い!!最高の1日だッ!!」

「じゃ、ぼく準備して来る...。」

「おぉ、おぉ、いってらっしゃい。」


テンションの高いギフトに手を振りながらそう言った。
振っている手をギフトに勢い良く掴まれる、俺は不機嫌になり眉間に皺を寄せて不満をギフト伝えた。


「そう睨まないでよー、セルリアはせっかく美人なんだからスマイル、スマイル!それでもって一緒に行こうじゃないか!!」

「如何したらそんな流れになるんだ!?其れに俺は興味ねぇーって、行くなら行ってこいよ。」

「其処を何とかぁー、もしもの時君がいなかったら面倒なんだもん!」


掴んだ俺の手を上下に振りながら言う。
俺に面倒事を押し付けるなよ...。


「三十路の癖に“だもん”とか使ってんじゃねぇーよ。」

「失礼な!!僕は29だよ!」


このやり取り以前もしたような気がする...大体1つしか変わらないだろう。
今だにギフトは俺の手を振り続けている、正直言って手が痛いのだが...。


「嫌だよ!!セルリアも行くのッ!!」


鬱陶しい...10歳も離れている大人が幼子のように駄々をこねるのだろうか。
ギフトは普通にしていれば頭が良く、ルックスもまぁまぁ良いのに、この面倒臭い性格と、あの“性癖”さえ無ければ良かったのに...。
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