第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
それぞれの仕度を終えた俺達は共に玄関を後にした。
ギフトに言われた通りに、数日間必要な物をキャリアバッグに詰め込んでだ。

これ程憂鬱な外出があるのだろうか、冬真っ盛りのこの国の空は、そんな俺の心境を写し取ったような色だった。


「寒いね♥兄さん♥」


ドールは何時ものようにギフトの左腕に抱きついた。案の定ギフトの表情が歪んだ。
ディーブは自身の荷物をちゃんと持って、俺の手を握った。
俺もしっかりディーブの手を握り返した。


「さぁ、行こうか。目的地、ブルーム村に!!」


既にドールの事など眼中に無いギフトが、笑顔でそう言った。
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