第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「お前から話し掛けてくるなんて、珍しいな。」


周りに聞こえない小さな声で、俺は言った。


“僕も興味が湧いたんだよ。”


姿は見えないがはっきりと声は聞こえる。


「確かに、お前が気になる感じの内容だったな。」


花を吐く少女...。ギフトやディーブ同様、ケビンの興味も惹く内容だったな。
何がそんなに気になるのか、俺には解らない。


「で、何だよ。わざわざ声まで掛けて...」

“僕も見てみたいんだ。だから、その...”


ケビンの言葉がこもる。
はっきりと言葉にすればいいことなのに...。


「交代すれば良いんだろ。」


ケビンが言う前に俺が言った。
少し驚いた声が頭に響いた、驚く事でもないだろうに...。


“良いのかい?...め、迷惑じゃ無い?”

「何馬鹿なこと言ってんだ。元はお前の体だろうが、」


隣に座っているギフトが、俺の声に気付いた。
興味あり気な笑顔で、俺を見る。


「何?何?何話してるのさ?」

「...ケビンとな。」


そう言って目を閉じる。
俺の意識はどんどん暗闇に溶けていく、今回はケビンと会わなかったな...そんな時もたまにはある。俺はさほど気にしない。



俺は闇の中で眠った。
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